ヘルプマークをつけている人が増えたのはなぜ?象者・配布数・普及した3つの理由と対象者を解説

ヘルプマークつけてる人が多すぎる理由 日本の今

通勤電車や街中で、

「最近、ヘルプマークをつけている人が増えたな」

と感じたことはありませんか?

以前はそれほど見かけなかったのに、最近は電車や駅などで目にする機会が増え、

「ヘルプマークって、どんな人が対象なの?」

「どうしてこんなに増えたの?」

「外見では元気そうに見える人もつけているのはなぜ?」

と疑問に思うこともあるかもしれません。

実際、ヘルプマークは東京都で始まった取り組みが全国へ広がり、東京都内でも累計の配布数が増えています。

ただし、ここで注意したいのが、

「配布数が増えた=現在ヘルプマークをつけている人の人数が、その数だけ増えた」

という意味ではないことです。

この記事では、ヘルプマークを目にする機会が増えた背景を、

  1. 全国へ普及したこと
  2. 援助や配慮を必要とする幅広い人が対象になっていること
  3. 外見からは分からない困りごとを周囲に伝えるマークとして知られるようになったこと

の3つの観点から整理します。

「ヘルプマークが増えた」と感じる理由を、数字や公的情報をもとに見ていきましょう。


ヘルプマークが広がった3つの理由

増えすぎたヘルプマーク

東京都から全国へ普及した

ヘルプマークは、もともと東京都が作成したマークです。

東京都では2012年10月から都営地下鉄大江戸線で配布が始まり、その後、都営地下鉄や都営バス、都電、日暮里・舎人ライナーなどへ取り組みが広がりました。

その後、ヘルプマークは全国へ普及。

東京都によると、2024年10月1日時点で、東京都以外の全道府県にも導入されています。

つまり、以前は東京を中心に知られていたマークが、全国各地で使われるようになったことで、日常生活の中で目にする機会そのものが増えたと考えられます。

また、ヘルプマークは現在、全国共通のマークとしてJIS規格にも登録されています。

このように、ヘルプマークが一部の地域だけで使われるものではなくなったことは、「以前より身近になった」と感じる背景の一つです。


対象者が「見た目だけでは分からない人」まで幅広い

「ヘルプマークは、障害者手帳を持っている人がつけるもの」

と思っている人もいるかもしれません。

しかし、ヘルプマークの対象は、それだけではありません。

東京都は、ヘルプマークの対象者について、

  • 義足や人工関節を使用している人
  • 内部障害のある人
  • 難病の人
  • 妊娠初期の人

など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている人を挙げています。

そして東京都でヘルプマークを受け取る際には、身体障害者手帳や診断書などの提出は必要ありません。

対象者本人、または家族や支援者などの代理人から口頭で申し出ることで配布を受けられます。

これは、「特定の障害名や手帳の有無によって一律に対象者を決めるマーク」ではなく、

「援助や配慮を必要としていることを周囲に知らせたい人が使うマーク」

という性質があるためです。

そのため、

「若いのにヘルプマークをつけている」

「普通に歩いているように見える」

「仕事をしているように見える」

という理由だけで、対象ではないと判断することはできません。


外見からは分からない困りごとを伝える手段として知られるようになった

ヘルプマークの大きな特徴は、外見だけでは分かりにくい事情を、周囲に知らせるためのマークであることです。

たとえば、東京都は、ヘルプマークをつけている人の中には、

  • 疲れやすい
  • 電車内で同じ姿勢を保つことが難しい
  • 突発的な出来事への対応が難しい
  • 立ち上がる、歩く、階段を上るなどの動作が困難

といった事情がある場合を紹介しています。

こうした困りごとは、街ですれ違っただけでは分かりません。

外見だけでは「健康そう」に見えていても、本人にとっては日常生活の中で配慮が必要な場合があります。

ヘルプマークは、そうした外から見えにくい事情を本人から周囲へ伝えるための手段の一つです。

ただし、

「外見から分からない事情がある人が増えたから、ヘルプマークの数も増えた」

と単純に因果関係を断定することはできません。

ヘルプマークの配布数が増えた背景には、全国への普及や制度の周知など、複数の要因があると考える必要があります。


東京都では、実際にヘルプマークの配布数も増えている

「最近、ヘルプマークをよく見るようになった」

という感覚を考える材料の一つが、東京都の累計配布数です。

東京都の資料では、ヘルプマークの累計配布数は次のように推移しています。

年度末累計配布数
令和2年度(2020年度)約41.5万個
令和3年度(2021年度)約46.5万個
令和4年度(2022年度)約53.6万個
令和5年度(2023年度)約62.1万個
令和6年度(2024年度)約71.0万個

東京都福祉局の資料より


この数字を見ると、東京都内でヘルプマークの累計配布数が増えてきたこと自体は確認できます。

令和2年度末の約41.5万個から、令和6年度末には約71万個。

4年間で約29.5万個増えていることになります。

「最近、以前より見かけるようになった」という感覚には、こうした普及の進展も関係している可能性があります。


ただし、「71万個=71万人」ではありません

ここは、ヘルプマークの数を考えるうえで非常に重要なポイントです。

先ほど紹介した約71万個という数字は、

東京都における累計配布個数です。

これは、

「現在、東京都で71万人がヘルプマークを身につけている」

という意味ではありません。

過去に配布されたものも累計に含まれるため、

  • 現在も使っている人が何人いるのか
  • 配布されたもののうち、どのくらいが継続して使われているのか
  • 一人の利用者が何個受け取ったのか

といったことまでは、この累計配布数だけでは分かりません。

したがって、

「ヘルプマークの配布数が増えている」

という事実と、

「現在ヘルプマークをつけている人が、同じ割合で増えている」

という話は分けて考える必要があります。

数字を正しく見ることは、「最近増えすぎたのでは?」という疑問を考えるうえでも大切です。


ヘルプマークは、どんな人が対象なの?

では、具体的にどのような人がヘルプマークを使うのでしょうか。

東京都は、対象者として以下のような例を挙げています。

  • 義足や人工関節を使用している人
  • 内部障害のある人
  • 難病の人
  • 妊娠初期の人
  • その他、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている人

重要なのは、「見た目で対象者かどうかを判断できるとは限らない」ということです。

たとえば、電車の中で立っている人が若く見えたとしても、その人が疲れやすかったり、長時間立っていることが難しかったりする可能性はあります。

反対に、ヘルプマークをつけているからといって、常に誰かの援助を必要としているとも限りません。

ヘルプマークは、あくまで「援助や配慮が必要なことを周囲に知らせる」ためのマークです。


ヘルプマークをつけている人を見かけたら、どうすればいい?

東京都は、ヘルプマークをつけている人を見かけた場合、

  • 電車やバスの中では席を譲る
  • 困っているようであれば声をかける
  • 災害時には安全な避難のために支援する

などの配慮を呼びかけています。

ただし、日常生活の中で毎回「何かしてあげなければ」と考え続ける必要はありません。

まずは、

「この人には、外見からは分からない事情があるかもしれない」

と知っておく。

そのうえで、実際に困っている様子があれば、できる範囲で声をかける。

そうした距離感でも、ヘルプマークの意味を知っていることには十分価値があります。


「ヘルプマークが多すぎる」と感じるのはおかしい?

ここまで見てきたように、ヘルプマークは東京都から全国へ普及し、東京都内でも累計配布数が増えています。

そのため、

「昔よりよく見かけるようになった」

と感じること自体は、不思議なことではありません。

一方で、

「よく見かけるようになった」
↓
「本当に必要な人がそんなに増えたの?」

と考えると、少し話が複雑になります。

累計配布数は増えていますが、それだけでは現在の利用者数や、利用者が増えた理由をすべて説明することはできません。

また、ヘルプマークは外見からは分からない事情を持つ人も対象としているため、街中で見ただけでは、その人がなぜ使っているのかを判断することもできません。

「増えたように見える」という感覚と、「必要のない人が増えた」という判断は、分けて考えることが大切です。


まとめ|ヘルプマークが増えた背景を知ると、見え方が変わるかもしれない

ヘルプマークを街で見かける機会が増えた背景には、主に次のようなことがあります。

  • 東京都で始まった取り組みが全国へ普及した
  • 援助や配慮を必要とする幅広い人が対象になっている
  • 外見からは分からない困りごとを周囲に伝えるマークとして使われている

東京都内の累計配布数も、令和2年度末の約41.5万個から、令和6年度末には約71万個まで増えています。

ただし、これはあくまで累計配布数であり、現在ヘルプマークをつけている人の人数そのものではありません。

また、ヘルプマークをつけている人の事情は、外見だけでは分からないことがあります。

だからこそ、

「最近、ヘルプマークが増えた気がする」と感じたときは、

まず、「なぜ、これほど身近なものになったのだろう?

と背景を知ってみる。

それだけでも、街でヘルプマークを見かけたときの見え方が少し変わるかもしれません。

もし、

「それでもヘルプマークをつけている人を見ると、なぜかイライラする」

「元気そうなのに……と思ってしまう自分が嫌だ」

という感情が残るなら、そのモヤモヤには別の理由があるのかもしれません。

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参考資料

政府広報オンライン「知っていますか?街の中のバリアフリーと『心のバリアフリー』」

東京都福祉局「ヘルプマーク」

東京都福祉局「令和6年度末 都におけるバリアフリー化等の進捗状況」