ナフサ(粗製ガソリン)の供給不安が広がり、2026年5月現在、私たちの生活に具体的な影響が出始めています。
高知名物の「ミレービスケット」の一部生産停止や、大手メーカーによるパッケージの簡素化といったニュースを耳にし、「本当にゴミ袋や日用品がなくなるのでは?」と動揺されている方も多いでしょう。
しかし、現時点での結論を申し上げます。
「特定の商品が一時的に手に入りにくくなる可能性」はありますが、社会全体から日用品が完全に消えるわけではありません。
今、私たちに求められているのは、現状を正しく理解し、パニック買いという「二次的な品不足」を防ぐ冷静な行動です。
中東情勢の影響を受ける「ナフサ問題」の実態と、私たちが取るべき対策を詳しく解説します。
なぜ今「ナフサ不安」が起きているのか?
「ナフサ」は石油化学工業の根幹を支える原料で、いわば「化学の原油」です。
プラスチック、ゴム、合成繊維、さらには印刷インクや塗料など、あらゆる生活用品の原料となります。
中東情勢と供給ルートの緊迫化
日本はナフサの約7割を輸入に頼っており、その輸入分のほぼ全量がホルムズ海峡を経由する中東産です。
2026年に入り、この海峡の緊迫化によって供給網が不安定になっていることが、現在の不安の根本原因です。
国内の在庫状況
2026年4月末時点の石油化学工業協会の発表によれば、化学品全体で国内需要の約4ヶ月分の在庫が確保されています。
つまり、今日明日で全ての原料が底を突くという事態ではありません。
すでに起きているナフサ不足の影響と、企業の「守りの対策」
ニュースで報じられている「生産停止」や「変更」には、実は供給を止めないための企業の工夫という側面があります。
以下、すでに起きているナフサ不足の影響です。
- 事例1:ミレービスケットの一部生産停止
高知の「ミレービスケット」を製造する野村煎豆加工店では、2026年5月13日時点で一部商品の生産を停止しています。
これは中身のビスケットがないのではなく、包装袋(パッケージ)の入荷が遅れているためです。
- 事例2:カルビー「ポテトチップス」の2色印刷化
大手菓子メーカーのカルビーは、ナフサ不足の影響でインク原料の調達が不安定になったことを受け、5月25日以降、主力商品のパッケージを順次「白黒2色」に変更することを決定しました。
これは「見た目をシンプルにしてでも、中身を安定して届け続ける」という、供給維持のための苦肉の策です。
ゴミ袋不足への不安|パニック買いが最大の敵
ゴミ袋はポリエチレンという樹脂から作られており、ナフサの影響を受けやすい製品です。
以下、ゴミ袋不足への不安が加速する主な要因です。
地域による在庫の格差: 自治体によっては数ヶ月〜1年分以上の備蓄を公開していますが、一方で在庫が少ない地域も表面化しており、これが不安を煽っています。
物流の混乱: 「なくなるかも」という不安から一度に大量の注文が重なると、工場の在庫があっても配送トラックが足りず、店頭から姿を消してしまいます。
現在、一部の自治体では指定ゴミ袋以外の使用を一時的に認めるなどの柔軟な対応も検討されています。
そのため、焦って1年分を買い込む必要はありません。
正しい情報共有で「パニック買い」の連鎖を止める
過去のオイルショックやコロナ禍でも、最大の被害は「物理的な不足」ではなく、デマや不安による「過剰な買い込み」でした。
不確かなSNSの情報ではなく、公的機関や企業の一次情報を信じましょう。
最後に「パニック買い」の連鎖を止めるための冷静な対策をまとめました。
- 「量はあるが、種類が届かない」現状を理解する: 特定の包装や色が使えなくなることはあっても、製品そのものが社会から消えることは考えにくい状況です。
- 共有(シェア)の精神: 買い占めは、本当に今すぐ袋が必要な家庭や高齢者への供給を止めてしまいます。
- 代替手段を知る: 指定袋が不足した際、自治体がどのようなアナウンスを出しているか、公式サイト等で一次情報を確認しましょう。
あなたが今日、必要な分だけを手に取るその行動が、物流の停滞を防ぎ、社会全体の安心を守ります。

